ただの『木の箱』をどうすれば怖くできるのか
もし、「ただの木の箱を怖くしてください」と言われたらどうすればよいのだろう?
その箱に纏わる嘘怪談を作って人に語って聞かせれば、怖くなるかもしれない。
何かしら演出をして、血糊がついていたり意味ありげな御札を貼っていれば、怖くなるかもしれない。
だけど、個人的にはそれはありきたりな気もする・・・
それは「直接的なホラー描写」であり、人間が本来持つ想像力の恐怖を刺激できないだろうか・・・
そんな風に考えていた時に、ふと、一つ思いついた。
『その箱が如何に恐ろしいかは、語って聴かせるよりも、どう扱うかで決まるのではないか』と
あなたがもしちょっとの振動で爆発するような爆弾を持っている場合、どのように扱うだろうか?
慎重に、ゆっくりと、緊張感を持って、何も語らずに床に置き、対処をすると思う。
周りの人間は、例え爆弾が入ってると知らなくても、あなたの動きとその緊張感で何か不味いものが入っているのではと想像するはずだ。
ただの木の箱を恐ろしく見せたいなら『所作』でもって伝えることができる。
その木の箱に対して、深々と3回無駄のない動きで、お辞儀をする。
慎重に木の箱に触れるが、触れる前に、清めの布でもって手を覆う。
様々な無駄のない無駄な所作が加わることで、その箱がとても大事なものであり
緊張感はやがて得も言われぬ恐怖へと昇華するのではないだろうか?
『所作』とは、その対象を高貴にも恐怖の対象にも変えることができる『無言の権威付け』だと思う。
こうしたものは、映像ならではかもしれない。
=闇島=
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